◆擁壁工事とは◆
がけや高台などの斜面をコンクリートなどで覆い、斜面の崩落を防ぐ工事を云います。
傾斜地などの高低差がある土地の場合は、その上に建てる建物の重さ、土の中に溜まった雨水の水圧、地震や台風等の災害によって斜面が崩れやすくなります。
土砂崩れが起きると、その土地や建物が崩壊する危険があるだけでなく、周辺環境やひとの命に危険が及びます。
そこで斜面の土が崩れないように留める「土留め」として、擁壁を壁状に設置するのです。
このように擁壁工事をおこなうことで、土砂崩れを防ぎ、地域住民の方の安全な環境をつくることができます。
また、弊社で行った公共工事の擁壁工事は実際に土砂崩れが起きたことにより再発防止の為に行われた工事となります。
具体的な施工事例は、下記に記載しておりますのでご確認の程宜しくお願い致します。
◆擁壁工事の種類◆
①鉄筋コンクリート擁壁
近年で、よく用いられる擁壁の種類が鉄筋コンクリートの擁壁です。
構造計算がしやすく、がけに対して真っすぐに擁壁を立てられるため、敷地を有効的に利用できます。
また鉄筋コンクリート擁壁にもいくつかの施工方法があり、主に以下の3種類があります。
①L型②逆L型③逆T型の全てが地中に埋まる部分が水平に出っ張っており、擁壁が倒れるのを防いでいます。
違いはその出っ張りの部分で、「L型」はがけの高いほうに、「逆L型」はがけの低いほうに出っ張りがあります。
また「逆T字型」は両側に出っ張りがあり、より安定性が期待できますが、地中部分が隣地にはみ出してしまう場合が多いです。
その為、敷地条件に応じて上記の3種類から適した方法を選んで施工します。
②ブロック擁壁
擁壁には、ブロックで作るブロック擁壁もあります。
ブロック擁壁は、高低差が大きいがけなどで利用される事が多く、高台の住宅地などで見かけることが多いです。
ブロックの素材にはコンクリートや間知石と呼ばれる石材が用いられます。
ブロック擁壁の施工方法は、①矢羽積み②布積み③練積みの3種類です。
よく行われる施工方法は、ブロックを矢の形のように斜めに積む「矢羽積み」です。
同様に、ブロックを水平に積む「布積み」も多く用いられています。
また間知ブロックの場合は、積んだブロックの間をセメントやモルタルで固める「練積み」という方法で施工されます。
③石積み擁壁
自然石をそのまま積み上げた擁壁の事を石積み擁壁と云います。
石積み擁壁は、水が抜けやすいため、水圧による崩壊も起きにくいのが特徴です。
石積み擁壁の施工方法には、①練積み②空積みの2種類があります。
「練積み」は上記したブロック擁壁の施工方法と同様の施工方法で、石と石の間をセメントやモルタルで固めて強度を増やすものになります。
大きな擁壁の場合は、擁壁の下にコンクリートの基礎を打ち込んでいる場合もあります。
「空積み」は石をセメントやコンクリートで固めず、砂利や栗石などの小石を間に敷き詰めて積み上げる方法です。
空積みは、耐久性が低い為、2mを超えるような擁壁工事では、行いません。
◆擁壁工事が必要なケース◆
多くの市町村では「がけ条例」が定められています。
横浜市の例を下記に記載させて頂きます。
宅地の造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい区域内で、①2mを超える切土の崖を生じる場合②1mを超える盛土の崖を生じる場合③切土と盛土を同時に行った部分に高さが2mを超える崖を生じる場合④切土又は盛土をする土地の面積が500平方メートルを超える場合は、工事着手前に宅地造成等規制法8条による「宅地造成に関する工事の許可」が必要です。
上記にて記載している崖とは、地表面に対し勾配が30度を超えるもので、自然崖だけでなく、擁壁などの人工の崖を含みます。
開発許可、宅造許可が不要の場合は、2mを超える高さの擁壁を造る時に、建築基準法に基づき、建築確認申請が必要となります。
また、建築物の建築を目的とし、土地利用をしようとする区域の面積が500平方メートルを超える場合、宅地造成に関する工事の許可ではなく、都市計画法29条の開発許可が必要となります。
◆擁壁工事の申請◆
がけ条例が適用されるがけの高さは2m以上なので、当然設置する擁壁の高さも2m以上になります。
2m以上の擁壁を建築する際には、各自治体への申請が必須です。
申請から許可までは約1か月程掛かりますが、擁壁工事の許可が下りないと建物の建築申請も行えません。
その為、擁壁工事が必要な土地に家を建てる場合は、擁壁工事がない場合よりも家の着工までに時間が掛かります。
細かい規定や申請方法は自治体によって異なるので、高低差が2mを超えそうな場合は、事前に各自治体に確認ましょう。
●2m以下の擁壁
がけ条例の規制を受けない場合でも、擁壁工事自体はできます。
なかには状況に応じて、自治体への申請が必要ない2m以下の擁壁を設置することもあります。
念のために斜面を安定させたい場合や、道路から少し高い位置に土地を造成したい場合に有効です。
しかし申請が必要ない2m以下の擁壁でも、安全性は重要です。
◆施工事例◆
▼施工事例はこちら▼
まとめ
上記が擁壁工事についてになります。
皆様のご参考になりましたら幸いでございます。
弊社でも、擁壁工事を行った際は施工事例として挙げて参りますので、何卒宜しくお願い致します。
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